開咬とは?症状や原因・放置のリスクや治療方法について詳しく紹介
日本人は不正咬合の割合が高い国民性がありますが、その中で開咬(オープンバイト)は他の不正咬合に比べれば発生率が低いといわれています。
開咬は奥歯が噛み合っており、歯並びも一見悪く見えないため、自分では不正咬合と気付かない人が多いですが、放置していると歯を失う原因になる可能性があります。
この記事では、開咬の原因や放置してはいけない理由、治療方法を紹介します。
開咬は、じつは他の不正咬合に比べると厄介な問題がある歯並びです。開咬がもたらすリスクや治療法について理解を深めましょう。
開咬とは
開咬とは、奥歯が噛み合っているのに前歯が噛み合わず、上下に隙間が開いている不正咬合です。
問題のある歯並びには、出っ歯や受け口、乱ぐい歯などがありますが、その中に『開咬』があります。
開咬は他の3種類に比べると発生率が低く、本人や保護者も気付きにくいため、学校の歯科検診やたまたま受診したクリニックで指摘されて気づくことが多いです。
開咬の特徴は以下です。
- 前歯で噛み切れない
- 舌が出るためサ行やラ行などの発音がはっきりしない
- 話す時に舌が見える
- 咀嚼時に音がする
- 食べ物がこぼれる
- 口呼吸になる・気付くと口が開いている
歯並びが悪いようにも見えず、奥歯も噛み合うため問題がないように感じてしまい、放置しがちな症状です。
しかし他の不正咬合と同様に、歯を失うリスクがあるため、治療が推奨されています。
開咬の原因
開咬は口を閉じているのに前歯が閉じない状態で、さまざまな原因があります。
せっかく開咬の治療を行っても、これらの原因が解決できていないと元の状態に後戻りする可能性があります。
ここでは、開咬の原因について紹介します。
遺伝
開咬を含め不正咬合の原因としてまず挙がるのは、遺伝です。
特に、身体の骨格構造が原因である『骨格性』の開咬は、両親や祖父母からの遺伝が大きく関係しています。
開咬の原因が遺伝の場合、顎の骨の形態に開咬が生じる問題があり、顎が成長するにつれ開咬も進行していく特徴があります。
指しゃぶり
幼少期から長期に続く指しゃぶりは、開咬のほかに上顎前突(出っ歯)の原因にもなります。
指しゃぶりは指で前歯を上前方に押し、同時に下の前歯を下後方へ押し付けます。
骨格が固まっていない幼少期に、長期に渡って指しゃぶりを行うことは、前歯が噛み合わない開咬や出っ歯など、不正咬合を引き起こしやすいため注意が必要です。
また、指を強く吸い続けると奥歯が内側に押されるため、狭窄歯列弓(きょうさくしれつきゅう)と呼ばれる歯のアーチの幅が狭くなる状態になります。
アーチが狭くなると歯が並ぶスペースも狭くなるため、歯並びがさらに悪くなる可能性があります。
舌の癖
開咬の後天的な原因の一つは、舌の癖です。
開咬になる原因の舌の癖には、無意識に舌で前歯を押したり、舌を前歯で軽く噛むなどがあります。
舌の癖がある場合、開咬の治療で歯の状態が改善しても後戻りする可能性があります。
そのため、治療する場合は歯列矯正や外科手術を行うのと同時に、舌の癖を改善して正しい使い方を覚える訓練が必要です。
口呼吸
開咬を引き起こす原因には、口呼吸があります。
特に子どもは、柔らかいものばかり食べていると口周りの筋力が低下して、口が開き気味になります。
また、アレルギーや花粉症など、何らかの鼻の疾患で鼻の通りが悪い場合も、口呼吸になりがちです。
口呼吸をする場合、鼻呼吸の時よりも舌を前方や低い位置にして気道を確保する『低位舌』の状態になります。
この時、舌が前歯を押す動きをするため、徐々に前歯が上下に開いて隙間ができてしまいます。
口呼吸は不正咬合の原因になりやすく、また、不正咬合が原因で口呼吸になりやすいという、悪影響を与え合うため要注意です。
舌小帯短縮症・巨舌症
舌の問題や疾患で開咬になるケースがあります。
舌小帯短縮症は、舌の裏と口の底をつないでいる『舌小帯(ぜつしょうたい)』が生まれつき短いため、舌の動きが制限され、口周りの成長が妨げられます。
巨舌症は舌が大きいため歯を押し出してしまいます。
これらの症状はどちらも開咬を引き起こすため、それぞれ対策が必要です。
開咬を放置してはいけない理由
気になっていても慣れたり我慢できたりしているために、治療に踏み切れずにいる人は多いと思いますが、開咬は放置するとさまざまなリスクが高まります。
開咬を放置してはいけない理由を紹介します。
将来歯を失うリスクが高い
開咬は、他の不正咬合と比べると、将来歯を失うリスクが高いとされています。
開咬の場合は前歯が噛み合わないため、奥歯の一定の部位に過剰な負荷がかかり、負担を上手く分散できません。
またその負担は歯だけではなく顎にもかかります。
そのような状態が長期間続くと、奥歯を失うリスクが高まっていきます。
食事がしづらい
自身では気づきにくい開咬ですが、食事のしづらさは本人も自覚しやすい点でしょう。
麺類やサンドイッチなど、前歯で噛み切る必要がある食べ物を食べる際に困ることが多いです。
食べ物を噛み切れないために、咀嚼が不十分なまま飲み込んでしまうような習慣がつくと、胃腸に負担がかかってしまいます。
その状態が続くと、そのうち身体全体のリスクへと発展することにつながります。
奥歯に負担がかかる
開咬は奥歯に負担がかかる不正咬合ですが、その奥歯にも噛み合わせの問題があると、食べ物を均等に咀嚼できない場合があります。
奥歯の咀嚼が偏ると、筋肉の発達に左右で差が出ます。
口の筋肉が平均的に発達できず、左右どちらかが上がったり下がったりして対称にならないなど、見た目に影響が及んでしまうため、奥歯のかみ合わせにも注意が必要です。
顎関節症のリスクがある
開咬の場合、奥歯にばかり負担がかかると顎も同等のダメージを受けるため、顎関節症を引き起こすことがあります。
顎関節症とは、顎の関節や筋肉に異常が起こり、顎を動かすと痛い・音がする・十分に口が開かないなどの症状が見られる疾患です。
悪化すると痛みで口が開けられなくなったり、食べ物が噛みにくくなったりするため、ひどい場合は治療が必要です。
虫歯や歯周病になりやすい
開咬は口腔内で細菌が繁殖しやすくなるため、虫歯や歯周病になりやすいというリスクがあります。
人の唾液には自浄作用がありますが、口腔内が乾燥すると、その作用が得られません。
開咬は口が自然と開いてしまうため、口腔内が乾燥しやすい状態です。
虫歯菌や歯周病菌も繁殖しやすくなり、外部からも細菌が侵入しやすくなるため、さまざまな感染の原因となります。
会話が聞き取りにくい
開咬で前歯が噛み合わない場合、会話中に隙間から空気が漏れるため発音がしづらく、会話に支障が出ます。
特に『サ』『タ』『ナ』『ラ』の行は舌が前歯に触れたり近づいたりすることで発音が成り立ちます。
しかし前歯がないと、これらが上手く発音できずに滑舌が悪化するため、会話自体が聞き取りにくく、コミュニケーションに影響を与えてしまいます。
開咬の治療方法
開咬は、噛み合わせの治療と並行して舌癖や習慣を改善する必要性があるため、他の矯正治療と比べると難易度が高いとされています。
そのため、歯列矯正だけでなく癖を直すアプローチ法もさまざまあります。
開咬の治療方法について一例を紹介します。
歯列矯正で改善する
骨格に問題がない軽度の開咬は、前歯を伸ばしたり奥歯を歯茎に押し込む歯列矯正で改善できます。
前歯の傾斜が開咬の原因になっている場合、角度を適切に修正することで開咬が閉じる可能性があります。
奥歯を押し込む矯正『圧下』は、前歯に高さを合わせて噛み合わせのバランスをとりますが、圧下は比較的難しい矯正方法です。
保定期間が必要であるため年単位の治療期間になりますが、ワイヤー矯正の他にインビザライン(マウスピース)、裏側矯正など選択肢がさまざまあるのがメリットです。
MFT(口腔筋機能療法)
MFT(口腔筋機能療法)は、歯並びや噛み合わせを乱す原因となる生活習慣や癖を改善するトレーニングです。
食べる・飲む・話す・呼吸するなどの際の、舌や唇の位置の改善を目的とし、続けることで口腔周囲の筋肉バランスを整え、癖を直すことを目指します。
生活習慣や癖が直っていないと、せっかく矯正治療しても元に戻ってしまう可能性があります。
MFTは特に指しゃぶりと舌癖に特に効果があるため、矯正治療の効果の維持が可能です。
外科手術が必要な場合も
開咬の原因が、顎の大きさ・成長方向などの骨格性や、舌小帯短縮症や巨舌症などの先天性の問題にある場合、外科手術が検討されます。
骨格性の開咬の場合や歯列矯正のみでは改善が見込めない重度の場合、顎の骨を手術で物理的に移動して、前歯が噛み合う状態に改善する手術が行われます。
舌小帯短縮症の手術では、舌の裏と口の底をつないでいる舌小帯を切除する『舌小帯伸展術』という手術があります。巨舌症の手術は、舌の一部を切除するものです。
治療に外科手術が必要になる場合や一定の条件を満たす場合など、ケースによっては歯列矯正を治療に含めても保険適用できる場合があります。
ハビットブレーカー
ハビットブレーカーは主に舌を前に出す癖がある小児に使用する装置で、舌を前に出せないように金属製ワイヤーが格子状に配列されています。
舌の正しい位置を意識させることが可能な装置ですが、舌で前歯を押せなくなるため、着けているうちに開咬の改善が見られる場合もあります。
ハビットブレーカーを装着することで舌癖の改善が得られたら、必要な歯列矯正を開始するという流れです。
舌癖の訓練で改善しない場合に選択されます。
口呼吸の原因を改善する
口呼吸の原因を解明して改善することは、開咬の改善につながります。
扁桃肥大やアデノイド肥大・アレルギー性鼻炎などを発症していると鼻呼吸がしづらいため、舌を低く(低位舌)して口呼吸の気道を確保しようとします。
その際に舌が前歯を押すのも、開咬の原因の1つです。
これらの原因を前もって解決することは、開咬の改善や治療後の状態の維持につながります。
指しゃぶりをやめさせる
指しゃぶりは必要以上に長く続けると、大人になっても悪影響が続く問題につながります。開咬もその1つです。
永久歯に生え変わるのが6歳頃のため、3歳頃から働きかけ、時間をかけても無理なく完全にやめられるようにすることが大切です。
家庭で指しゃぶりをやめさせるには以下の方法があります。
- 指しゃぶりをしそうなとき、他のものへ意識が向くよう話しかける
- 眠るときは手を握ったり、背中をトントンしたりして寝かしつける
- 手遊びを一緒に行う
- 指しゃぶりをしなかったときはしっかり褒める
指しゃぶりをする理由は寂しさや愛情を感じたいなど、精神的なストレスによるものともいわれています。
無理をいったり、「おばけがくるよ」など恐怖感を与えたりしてやめさせることは心に悪影響を与えるため、愛情をもった働きかけを心がけましょう。
舌の位置を意識する
開咬の原因としてまず上がるのは遺伝ですが、開咬が悪化する原因のほとんどは日常生活における癖です。
開咬の人は以下のポイントを普段から意識してみましょう。
- 舌が前歯に当たっている……前歯を無意識に押している
- 食事中、隙間を舌が塞いでいる……習慣になっている場合、気付かない可能性がある
- 会話中に前歯を舌で押している……息が漏れないよう自然に舌で塞いで発音している
このように、開咬が悪化することを無意識に行っている可能性があります。
舌の正しい位置は、上顎に軽く触れている状態です。なるべく意識するようにして、開咬を悪化させないように努めましょう。
自力で治そうとしない
開咬をはじめとした噛み合わせや歯並びのトラブルを、自分で直すことはできません。
歯を動かすには、適切な時間と力が必要であり、加減を間違えると歯の寿命を縮める可能性があります。
インターネットを調べると、割り箸や輪ゴムを使うやり方や市販のマウスピースを使用する方法などを見かけますが、思わぬダメージを受ける危険性もあります。
開咬は、専門知識のない人間が自力で正しく直せる症状ではありません。噛み合わせや歯並びの問題は繊細であるため、専門的な知識のある専門家に相談しましょう。
まとめ
開咬は発見が遅くなりがちですが、指しゃぶりのやめ時や舌癖のトレーニングなどを含め、できれば他の不正咬合よりも早い時点から、計画を立てて治療を始めて欲しい症状です。
開咬の治療方法は意外と多く、また併用することでより効果が出せる治療法もあるため、歯科医師とよく相談して、適切な方法を選びましょう。
矯正歯科・口腔ケア クリニック知事公館前は、歯科矯正と外科手術を組み合わせて受ける保険診療の『外科的矯正』や、通常よく見かける自由診療の歯科矯正も提供しております。
「滑舌悪いのって歯のせいだったの?」「そういえば前歯がしっかり使えていない」など、気になる点がありましたら、一度お気軽にご相談ください。
記事監修者

矯正歯科・口腔ケアクリニック知事公館前
院長 三木 善樹
- 経歴
- 1993年 徳島大学歯学部卒業
- 1997年 徳島大学大学院歯学研究科修了
- 1997年 徳島大学歯学部矯正学講座助手
- 2004年 札幌医科大学医学部口腔外科学講座助手
- 2007年 札幌医科大学医学部口腔外科学講座助教
- 2022年 矯正歯科・口腔ケアクリニック知事公館前院長
- 所属学会
- 日本矯正歯科学会・認定医
- 日本口腔外科学会
- 日本顎変形症学会
- 日本口蓋裂学会
- 日本顎関節学会
- 北海道矯正歯科学会
- 日本骨代謝学会
- 歯科臨床研修医指導医
-
-
住所〒060-0003
北海道札幌市中央区北3条西14丁目2-2
ダイアパレス北3条第2 1F -
アクセス地下鉄東西線「西11丁目」・「西18丁目」駅から徒歩10分
JR函館線「桑園」駅から徒歩15分 -
駐車場駐車場はクリニックの裏、マンション敷地内15番ですが、使用中の場合は近隣駐車場に停めてください。受付で駐車券を提示し申告していただけましたら1時間無料チケットをお渡しします。
-
-
予約について
診療時間 月 火 水 木 金 土 日 10:00 ~ 13:00 - - ● ● ● ● ▲ 14:00 ~ 18:00 - ● - - ● ● ▲ 休診日/月曜日・火曜日午前・水曜日午後・木曜日午後・隔週日曜日・祝日
※1 日曜日は隔週
※ 最終受付は17時30分
マイナンバーカードでの受付OK
各種キャッシュレス決済OK診療科目:矯正歯科