歯並びは遺伝?原因や影響・解決法・歯列矯正の必要性についても紹介
歯並びを気にしている人の中には、親に似ているから仕方ないと考える人はいるでしょう。
確かに、歯並びを作る要素の1つに『遺伝』は含まれていますが、今の歯並びには遺伝と同じくらい『習慣』も影響を与えています。
この記事では、歯並びは遺伝するのか、遺伝しやすい歯並びや、遺伝の他に歯並びに影響を与えるものと解決法などについて紹介します。
気になる歯並びに対する歯列矯正の必要性についても考えます。「矯正ってどうなのかな?」と考えることがある人は、もう一歩踏み込んで考えるきっかけにしてください。
歯並びの原因に遺伝のケースはある
実際、歯並びを決める原因に遺伝はどのような形で関与しているのでしょうか?
歯並びの原因に遺伝のケースがあるのかを紹介します。
「歯並びが遺伝する」とは
「歯並びが遺伝した」という話をよく聞きますが、実際は歯並びが遺伝するのではなく、その歯並びになる条件が遺伝する、と考えるのが分かりやすいでしょう。
両親のどちらかに歯並びが似ているということは多いと思います。
しかし実際は、歯並びそのものが遺伝するのではなく、歯や顎・骨の大きさや質・硬さ・形・向きなどが遺伝の影響を受けます。
小さめの顎と大きめの歯が遺伝すると、小さい顎に大きい歯が生えるためスペースが足りず、結果として歯並びが悪くなります。
しかし遺伝したのが顎のサイズだけで、歯の大きさは似ていなかった、となれば、そこまで歯並びが悪くならない可能性もあるでしょう。
そのため、歯並びは遺伝の影響は受けても、必ずしも遺伝では決まらないといえます。
歯科医師の中では「遺伝の確率は高くない」
歯並びが遺伝の影響を受ける確率については、歯科医師によって意見が分かれており、2%程度から約30%、または80%とする説もあります。
現時点で明確な統一見解はありません。
しかしたった2%でも高確率な80%でも、遺伝が歯並びの原因として常に外されずにいるのは、遺伝よりも影響が大きい、気をつけるべき要因が実は生活習慣にあるためでしょう。
家族として一緒に暮らしていれば、生活習慣や癖は遺伝のように親に似る部分です。
遺伝だけでは決まらないけれど、親の影響は受けるため、「歯並びの原因には遺伝(親に似ること)もある」という結果論が成り立つといえるでしょう。
子どもの歯並びのことを考えたとき、遺伝以外にどんな原因に影響を受けているのかを知ることが大切です。
遺伝しやすい歯並び
歯並びや噛み合わせに問題が起こる原因が、顎の骨の大きさや形態などの骨格上の構造にあることを『骨格性』といい、骨格性の歯並びは遺伝しやすいと言われています。
ここでは、遺伝しやすい歯並びの例を紹介します。
受け口
『受け口』は、見た目は下顎が突き出ている状態で、『反対咬合』または『下顎前突』とも呼ばれています。
口を閉じたときは通常、上の前歯が下の前歯に2〜3mmほど被さっています。
受け口はそれが逆になっていて、上の前歯より下の前歯が前に出ている状態です。
受け口の原因は遺伝の他にもありますが、一般的に下顎が大きい、または上顎が小さいという遺伝の可能性が高いと考えられます。
両親や祖父母などが受け口の場合、遺伝の確率は高くなります。
叢生(そうせい)
『叢生』は、歯と歯がガタガタと重なり合い、デコボコした歯並びになっている状態です。
よく見かける八重歯も、叢生の分類に入ります。
叢生は、以下の理由で歯が生えるスペースが不足することで引き起こされます。
- 顎の骨に対して歯が大きい
- 歯の大きさに対して顎の骨が小さい
顎や歯の大きさは遺伝によるところが大きいため、遺伝の可能性が高い歯並びです。
出っ歯
『出っ歯』は『上顎前突』ともいわれる、奥歯を噛み合わせたときに上顎や上の前歯が前に出る状態です。
以下のような場合に出っ歯になります。
- 上顎が前方に成長しすぎている
- 下顎の成長が不足している
- 上の前歯が大きめ
顎については骨格性のため遺伝の可能性が高く、歯は骨ではないですが大きさや形が遺伝することが分かっています。
歯並びに影響を与えるものと解決法
遺伝の他に歯並びに影響を与えるものを紹介します。
紹介する解決法は、実施することで歯並びの悪化の予防になる場合があります。
頬杖
頬杖をつく癖があると、交叉咬合や左右非対称の歯並びの原因になります。
頬杖をつく癖は、以下のようなリスクがあります。
- 下顎が後方に下がりやすくなる
- 歯が内側に倒れ込むことがある
- 歯並び・噛み合わせがズレる
- 顎の骨格が歪み、左右非対称になる
人の頭は5kg程度あり、頬杖をつくとその負担が頬杖をついたところにかかります。
頬杖は両手や片手でつくなど人それぞれですが、特に片手でつく癖がある場合は、負担もどちらかに偏るため、歪みの原因となります。
頬杖をついていることに気が付いたらやめるようにしましょう。また、意識して良い姿勢を保っていると頬杖をつきづらくなります。
指しゃぶり
指しゃぶりはさまざまな歯並びや噛み合わせの原因として挙げられます。
指しゃぶりは指からの圧力の他、指を吸うことで生じる圧力も歯並びに影響を与えます。
指しゃぶりやおしゃぶりが長期間続くと、顎の成長や歯並びに影響を及ぼす場合がありますが、適切な時期にやめれば大きな問題にならないことが多いです。
そのため、適切な時期におしゃぶりをやめられれば、成長とともに多少の歯並びは改善します。
5歳までの間に無理なくやめられるように、早めに働きかけるのがおすすめです。
舌の癖
舌の癖には、舌を出す・舌を歯に押し付ける・舌の位置が悪いことなどです。
舌に癖があると、前歯が前に出たり、口が開いたりします。
舌には『スポット』といって、通常置いておく正しい位置があります。
上の前歯の少し後ろ辺りにポコッと膨らんでいる部分があり、そこに舌の先が触れる位置で、舌全体が上顎にペタッと楽に吸着している状態が正しい位置です。
普段、舌が正しい位置にあると顎は正しく成長しやすくなります。
しかし舌が通常正しい場所になく、下がっていたり前歯を押したりしていると、出っ歯や開咬、受け口などになってしまいます。
舌の位置や癖を改善するには歯科医院が用意しているトレーニングプログラムや、『あいうべ体操』があります。
あいうべ体操とは、「あ」「い」「う」「べ」と口をしっかり大きく動かす口の体操です。
どちらも歯科医院で詳しい話が聞けるため、一度相談してみましょう。
姿勢
猫背になると胸が広がらずに息がしづらくなるため、酸素を多く吸いこもうとして口呼吸になります。
口呼吸で舌の位置が下がると、出っ歯や開咬・叢生の原因となります。
猫背を予防するには頭の重心が背骨に乗るように普段から心がけることが大切です。姿勢を正すことは頬杖の予防にもなるため、意識してみましょう。
食習慣
食習慣も歯並びの原因の1つです。どんなものを食べるかによって歯並びに影響があります。
柔らかいものを食べる習慣がある場合、口周辺の筋肉が発達しないため、顎の成長が妨げられます。
また、歯ごたえのあるものを食べることは咀嚼回数が増えるため、顎が鍛えられます。
顎の成長を促し、正しい歯並びを保つことにつながるため、噛み応えのあるものを選んで食べましょう。
口呼吸
口呼吸は、上述したような姿勢による場合や、アレルギー性鼻炎のような疾患が原因の場合などがあります。
疾患の場合は原因を改善するために受診をして治療すれば口呼吸は改善できるでしょう。
しかし口呼吸には、口呼吸が歯並びに影響を与える場合や、もうすでに悪い歯並びによって口呼吸が引き起こされる場合があるなど、歯並びとの密接な関係があります。
鼻呼吸をしている場合は口を閉じているので、唇による圧力が前歯にかかりますが、口呼吸をしているとその圧力をかけられないため、出っ歯になる可能性があります。
また、出っ歯の場合は口が閉じにくいため、口呼吸になりやすい傾向があります。
このように、歯並びと口呼吸はどちらかに問題があるともう片方も悪化させるという悪循環の関係が成り立ってしまいます。
歯並びと口呼吸の両方の問題を抱えている場合、どちらも一緒に改善する治療を行うことで、歯並びが直った後の後戻りを防ぐことが可能です。
うつぶせ寝
うつぶせ寝の場合、顔を押し当てて寝ることで歯が圧迫されるため、歯並びに悪影響が出ます。
かといって就寝時の姿勢は本人には気づきにくいため、寝始めに仰向けの姿勢を取る・枕や敷き寝具の見直しなどを試してみましょう。
子どもの場合はうつぶせ寝に気付いたら、大人が仰向けに直してあげましょう。
爪噛み
子どもの場合、指しゃぶりの他に爪を噛む子もいます。爪噛みは上下の前歯で強くかむため、歯が傾いて歯並びに影響が出る場合があります。
中には、前歯の根っこに骨吸収(古い骨を分解・吸収する。骨が減る)を引き起こすほど強く噛む子もいます。
爪噛みや指しゃぶりは、不安やストレスの解消のために必要な行為でもあるため、歯に悪影響はありますが、頭ごなしに禁止することはおすすめしません。
やめさせ方や時期は指しゃぶりと同じで、時間をかけても無理をさせずに根気よく言葉で伝えていくのがいいでしょう。
また、専用の苦い味がするマニキュアを利用することも検討してみましょう。
虫歯
乳歯が虫歯や怪我などを理由に早く抜けてしまった場合に、どうせ永久歯が生えてくるからとそのまま放置することは歯並びが悪くなる原因です。
乳歯には永久歯が生える場所へ導く大切な役割があります。
予定より早期に乳歯が抜けてしまうと、永久歯が生えるまでの間に両隣の歯が倒れ込んでくるため、永久歯の生えるスペースがなくなってしまい、歯並びがガタガタになってしまいます。
乳歯が早期に抜けた場合は『保隙装置(ほげきそうち)』という装置を装着すると、永久歯のスペースを確保できます。
抜けたのが乳歯だからといって放置せず、受診して子どもの歯並びを守りましょう。
歯列矯正は必要?
歯並びが悪い場合は矯正した方がいいという話は聞きますが、困っていない・見た目も特に問題ないなど、歯列矯正が本当に必要なのか考えてしまう場合があります。
歯列矯正の必要性について紹介します。
歯列矯正をするかしないかの目安
歯列矯正の必要性は全ての人にとって同様にあるものではありません。中には今まだしなくてもいい矯正もあります。
しかし、以下の状況にある場合は気付いた時点で矯正を行うことをおすすめします。
- 噛み合わせの問題がある……食事や会話に支障が出てくる可能性がある
- セルフケアが難しい場合……清掃が難しいと、虫歯や歯周病のリスクが高まる
- 見た目が気になる……自信を取り戻し、コミュニケーションが楽しめる
また、矯正をした方がいい歯並びと、様子をみてもいい歯並びがあります。
- 矯正をした方がいい歯並び
- 出っ歯
- 受け口
- 開咬
- 様子を見てもいい歯並び
- すきっ歯
- 軽度の不正咬合
歯並びや噛み合わせの悪さは放置すると悪化することもあるため、特に子どもや今現在噛み合わせが気になっている人はぜひ検討してみましょう。
歯列矯正の方法
代表的な歯列矯正の方法には、以下のようなものがあります。
- ワイヤー矯正
- 表側矯正
- 裏側矯正
- マウスピース
ワイヤー矯正は複雑な症例にも対応でき、高い治療効果が期待できます。
マウスピース矯正は取り外しができ、目立ちにくいというメリットがあります。
歯列矯正のメリット
歯列矯正を受けることで得られるメリットを紹介します。
以下は、歯列矯正のメリットとデメリットです。
- メリット
- コンプレックスが解消する
- 虫歯・歯周病などの予防ができる
- 顎関節症や頭痛・肩こりが解消できる場合がある
- 顎の成長が止まっているため治療計画が立てやすい
- デメリット
- 治療中の装具が目立つ
- 痛みや違和感がある
- 虫歯や歯周病になりやすい
- 治療期間が長期
歯列矯正では、分かりやすい見た目の悩みを改善しながら、健康の回復や不調の予防もできます。
治療中の装具についても、矯正歯科・口腔ケア クリニック知事公館前ではプラスの費用なしでセラミックブラケット・ホワイトワイヤーによる目立ちづらい治療を提供しております。
デメリットもありますが、歯列矯正で得られるメリットを知っておくことで、検討時の参考になります。
まとめ
歯並び自体が優性遺伝するわけではありませんが、骨格や歯の大きさ・形などの特徴が遺伝する傾向があります。
しかし、実際は歯並び自体は遺伝せず、生活習慣や癖なども歯並びに大きく関与していることが分かって頂けたかと思います。
遺伝を過度に心配するより定期検診の歯並びチェックを受けて、将来のリスクを予測・回避するための予防を、歯科医師と一緒に行いましょう。
矯正歯科・口腔ケア クリニック知事公館前では、歯列矯正の他に保険適用の外科的矯正治療も行っております。
歯並び・噛み合わせ・重度の不正咬合でお困りの方は、ぜひ一度ご連絡ください。
記事監修者

矯正歯科・口腔ケアクリニック知事公館前
院長 三木 善樹
- 経歴
- 1993年 徳島大学歯学部卒業
- 1997年 徳島大学大学院歯学研究科修了
- 1997年 徳島大学歯学部矯正学講座助手
- 2004年 札幌医科大学医学部口腔外科学講座助手
- 2007年 札幌医科大学医学部口腔外科学講座助教
- 2022年 矯正歯科・口腔ケアクリニック知事公館前院長
- 所属学会
- 日本矯正歯科学会・認定医
- 日本口腔外科学会
- 日本顎変形症学会
- 日本口蓋裂学会
- 日本顎関節学会
- 北海道矯正歯科学会
- 日本骨代謝学会
- 歯科臨床研修医指導医
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