セラミックブラケットの着色はなぜ起きる?本当の原因と予防・対処法を解説
セラミックブラケットを選んだのに「黄ばんできた」と感じる方は少なくありません。ただ、その変色の正体はブラケット本体ではなく、周囲のゴムリングや接着剤であることがほとんどです。着色の仕組みを正しく知れば、必要以上に食事を制限しなくても見た目を保つことは十分に可能です。
セラミックブラケットで「着色」するのはどのパーツか
セラミックブラケットの着色を気にされている方の多くは、「ブラケットそのものが変色する」と思っています。しかし実際に色が変わるのはブラケット本体ではなく、治療に使う補助的なパーツです。どこが着色するのかを知っておくと、対策の優先順位がはっきりします。
セラミックブラケット本体はほとんど着色しない
セラミックは陶器と同じ素材で、水分を吸収しない性質があるため、食品の色素が染み込むことはほぼありません。プラスチック(樹脂)製のブラケットは水分を吸収する性質があるため使い続けるうちに黄ばんできますが、セラミックにはこの問題がありません。治療期間が1年以上におよぶ矯正では、この「着色しにくさ」が見た目の安定感に直結します。
ゴムリング(モジュール)が最も着色しやすい
ブラケットにワイヤーを固定するために使う小さなゴムリング(「モジュール」や「Oリング」とも呼ばれます)は、ゴムの性質上、食品の色素を吸収しやすいパーツです。カレーやコーヒーなど色の濃い飲食物を摂ると、早ければ1回の食事でも黄色やオレンジに変色することがあります。セラミックブラケット自体が白いぶん、ゴムリングの着色が余計に目立ちやすくなるのが厄介な点です。
ただしゴムリングは毎回の通院時に新しいものへ交換するため、着色は一時的なものです。次の通院で元の白さに戻ります。
ホワイトワイヤーのコーティング剥がれ
審美性を重視する方が選ぶホワイトワイヤーは、金属のワイヤー表面に白いポリウレタンをコーティングした構造です。歯磨きや食事の刺激でコーティングが少しずつ剥がれ、下地の銀色がまだらに見えてくることがあります。これは「着色」というよりコーティングの摩耗ですが、見た目には変色したように映ります。
コーティングの持ちはブラッシングの仕方によって変わります。歯磨き粉の研磨剤がコーティングを削りやすいため、ワイヤー部分を磨くときはジェルタイプの歯磨き剤を使うか、歯ブラシを45度くらいの角度で当てて、コーティング面を直接こすらない工夫が有効です。
一方、「ロジウムコーティング」といったコーティングが剥がれにくいホワイトワイヤーもあるため、クリニックで「自分の使用するワイヤーが着色しやすいか」を事前に確認しておくのが安心です。
ブラケット周囲の接着剤
ブラケットを歯に固定する接着剤(レジン系の材料)は、長期間の使用でお茶やコーヒーの色素が少しずつ沈着することがあります。ブラケットの縁に沿って薄い黄色い線のように見えるケースが典型的です。接着剤の着色は、治療途中に自分で取り除くことはできませんが、矯正装置を外す際にクリーニングできれいに除去できます。
セラミックブラケットの着色を招きやすい食品・飲料
着色の主な原因は食品に含まれる色素(ポリフェノールやターメリックなど)です。特にゴムリングへの影響が大きい食品・飲料を把握しておくと、通院前後の食事を調整しやすくなります。
| 着色しやすい食品・飲料 | 着色の原因となる成分 |
|---|---|
| カレー、ターメリック含有食品 | クルクミン(黄色色素) |
| コーヒー、紅茶、緑茶 | タンニン |
| 赤ワイン、ぶどうジュース | アントシアニン |
| ケチャップ、トマトソース | リコピン |
| 醤油、ソース | カラメル色素 |
| キムチ | カプサンチン |
| チョコレート、ココア | カカオポリフェノール |
上記の食品を完全に避ける必要はなく、後述する予防策と通院時の交換で対処できます。
セラミックブラケットの着色を防ぐ日常ケア
着色は「ゼロにする」ものではなく、「目立たない程度に抑える」ものだと考えるほうが現実的です。毎日の小さな工夫の積み重ねが、次の通院日まで見た目を保つ鍵になります。
食後の歯磨き・うがいを習慣にする
色素がゴムリングや接着剤の表面に定着する前に洗い流すことが最も効果的な予防策です。食後すぐに歯磨きができる状況であれば磨くのが理想ですが、外出先など難しい場合は水でうがいをするだけでも着色の度合いは軽減できます。色の濃い飲み物を飲んだ後も同様に、口をすすぐ習慣をつけておくと違いが出ます。
歯ブラシの当て方を工夫する
矯正装置のまわりはブラケットやワイヤーが邪魔をして磨き残しが出やすい場所です。通常の歯ブラシに加えて、ヘッドの小さなワンタフトブラシや歯間ブラシを併用すると、ブラケット周囲の汚れや色素をより効果的に除去できます。
ホワイトワイヤーを使っている場合は、前述のとおりコーティングへのダメージを抑えるために、ワイヤー表面は研磨剤の入っていないジェルタイプの歯磨き剤で優しく磨くのがおすすめです。ブラシを歯に対して45度の角度で当て、ワイヤーの上面を直接ゴシゴシこすらないようにすると、コーティングの持ちが良くなります。
着色しやすい食事は通院日の直前にまとめる
ゴムリングは通院のたびに新しいものに交換します。つまり、通院日の2〜3日前に色の濃い食事を楽しめば、着色した状態で過ごす期間を最短にできます。カレーやトマトソースのパスタなど好きなものを完全に我慢する必要はなく、食べるタイミングを工夫するだけで見た目への影響を最小限に抑えられます。
セラミックブラケットが着色したときの対処法
日常のケアだけでは完全に着色を防げないこともあります。そんなときも、通院時の処置で元の状態に戻せるケースがほとんどです。
ゴムリングは通院時に交換できる
ゴムリングの着色は最も気になりやすい変化ですが、対処はシンプルです。ワイヤー矯正では通常3〜4週間に1回の頻度で通院し、その都度ワイヤーの調整とともにゴムリングも新品に交換します。新しいゴムリングに替えれば着色は完全にリセットされるため、次の通院まで着色が蓄積し続ける心配はありません。
クリニックでのクリーニング
ブラケット周囲の接着剤に付いた着色や、歯の表面に蓄積した色素沈着は、通院時のクリーニングで対応できます。専用の器具やエアフロー(細かな粉末を吹き付けて汚れを落とす方法)で歯面やブラケット周囲の着色を除去すると、装置全体の見た目が明るく戻ります。定期的なクリーニングは着色対策だけでなく、虫歯や歯周病の予防にもなるため、通院のたびに受けておくことをおすすめします。
セラミックブラケットとメタルブラケットの比較
セラミックブラケットの着色が心配で「いっそメタルのほうがいいのでは」と迷う方もいます。両者の違いを整理しておくと、自分に合った選択がしやすくなります。
| 比較項目 | セラミックブラケット | メタルブラケット |
|---|---|---|
| 見た目 | 白色・半透明で歯になじむ | 銀色で目立ちやすい |
| 着色リスク | ブラケット本体はほぼなし(ゴムリングは着色する) | ブラケット自体の着色なし(ゴムリングは同様に着色する) |
| 強度 | メタルよりやや劣るが通常の使用では問題ない | 金属のため強度が高い |
| 費用 | メタルより10〜20万円ほど高い傾向 | ワイヤー矯正の中では最も費用を抑えやすい |
| 金属アレルギー | セラミック素材のため心配が少ない | 金属を使用するためアレルギーリスクあり |
着色に関してはどちらのブラケットでもゴムリングの着色は同じように起きます。違いが出るのはブラケット本体の見た目で、セラミックは歯の色に近いぶん装置全体として目立ちにくくなります。メタルブラケットは着色の心配こそ少ないものの、装置自体が銀色のため「着色で目立つ」以前に「装置として目立つ」のが実情です。
「目立ちにくさ」を重視するのであれば、ゴムリングの着色というデメリットを差し引いても、セラミックブラケットのほうが総合的な審美性は高いと言えます。
セラミックブラケットの着色に関するよくある質問
喫煙はセラミックブラケットの着色に影響しますか?
影響します。タバコのタール(ヤニ)はゴムリングや接着剤に付着しやすく、食品の色素よりも落ちにくい黄褐色の着色を残します。セラミックブラケット本体への影響は食品同様わずかですが、ゴムリングの変色は食事由来より目立つ傾向があります。
矯正中の喫煙は着色だけでなく歯周組織の回復にも影響するため、可能であれば本数を減らすことをおすすめします。
セラミックブラケットの着色は自分で落とせますか?
ゴムリングの着色は素材に色素が浸透しているため、歯磨きで落とすことはできません。通院時に新しいゴムリングに交換するのが唯一の対処法です。ブラケット周囲の接着剤の着色も、自分で除去しようとすると装置を傷つけるおそれがあるため、クリニックでのクリーニングに任せるほうが安全です。
ホワイトニングはセラミックブラケットをつけたまま受けられますか?
ブラケットが付いている状態でのホワイトニングは基本的におすすめしません。ブラケットが歯の表面を覆っている部分には薬剤が届かないため、装置を外したときにブラケットの跡だけ元の色が残り、まだら模様になるおそれがあります。
歯を白くしたい場合は、矯正装置を外した後にホワイトニングを行うほうがムラなく仕上がります。
色の濃い飲み物はストローで飲めば着色を防げますか?
ある程度の効果はあります。ストローを使うと液体が前歯のブラケットやゴムリングに直接触れる量が減るため、着色の度合いを軽減できます。ただし口の中に液体が入る以上、完全に防げるわけではありません。
まとめ
セラミックブラケットの着色で実際に変色するのは、ブラケット本体ではなくゴムリングや接着剤、ホワイトワイヤーのコーティング部分です。ブラケットそのものは陶器と同じ素材で色素が染み込みにくいため、治療期間を通じて白さを保てます。
着色への対策は「食後の歯磨き・うがい」「食事のタイミング調整」「通院時のゴムリング交換・クリーニング」の3つが基本です。好きな食事を完全に我慢する必要はなく、仕組みを知って少し工夫するだけで見た目を十分にコントロールできます。
矯正歯科・口腔ケア クリニック知事公館前では、セラミックブラケットとホワイトワイヤーを用いた目立ちにくいワイヤー矯正を行っています。着色の心配や日常生活での疑問も含めて、カウンセリングでお気軽にご相談ください。
記事監修者

矯正歯科・口腔ケアクリニック知事公館前
院長 三木 善樹
大学病院で培った治療と予防の経験を地域の皆様にお届けしていきたいと考えております。
矯正治療は長い時間をかけて歯並びを整える治療です。治療期間を通じて信頼できるパートナーとして寄り添えるよう、スタッフ一同努めてまいります。
- 経歴
- 1993年 徳島大学歯学部卒業
- 1997年 徳島大学大学院歯学研究科修了
- 1997年 徳島大学歯学部矯正学講座助手
- 2004年 札幌医科大学医学部口腔外科学講座助手
- 2007年 札幌医科大学医学部口腔外科学講座助教
- 2022年 矯正歯科・口腔ケアクリニック知事公館前院長
- 所属学会
- 日本矯正歯科学会・認定医
- 日本口腔外科学会
- 日本顎変形症学会
- 日本口蓋裂学会
- 日本顎関節学会
- 北海道矯正歯科学会
- 日本骨代謝学会
- 歯科臨床研修医指導医
【ワイヤー矯正(セラミックブラケット)に関する重要事項】
ワイヤー矯正(セラミックブラケット)は公的医療保険が適用されない自由診療です。
- 治療内容:セラミック製のブラケットとワイヤーを歯に装着し、歯を少しずつ移動させて歯並び・噛み合わせを改善する治療
- 治療期間・回数:1〜3年程度、月1回程度の通院(個人差あり)
- 費用の目安:60万〜100万円程度(税込)。検査料・調整料が別途かかる場合があります。詳しくはクリニックへお問い合わせください
- リスク・副作用:装置装着中の違和感・痛み、口内炎、歯根吸収、歯肉退縮、装置の破損、治療後の後戻りなど
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北海道札幌市中央区北3条西14丁目2-2
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