矯正相談は何件行くべきか。比較の軸と自分に合う医院の見つけ方
矯正治療は費用も期間も大きく、簡単にやり直しがきかない治療です。だからこそ、最初の一歩である矯正相談を1件だけで済ませるのか、複数の医院を回るべきなのかは、多くの方が迷うポイントではないでしょうか。結論から言えば、2〜3件の矯正歯科で相談を受け、比較したうえで判断するのが現実的な目安です。
ただし大切なのは件数そのものではなく、「何を基準に比較するか」を持って臨むことです。
矯正相談は何件行くのが目安か
「何件回れば十分か」を考えるために、実際に矯正治療を受けた方の行動データと、件数の目安を裏付ける理由を確認します。
実際に複数の医院で相談した人の割合
株式会社メディカルネットが2023年に実施した「歯列矯正に関する調査」(全国20〜60代、矯正治療経験者100名の回答)によると、2件以上の医院で初診相談を受けた方は64%にのぼります。内訳は2件が33%、3件が19%、4件以上が12%で、1件のみで決めた方は36%でした。
2〜3件が現実的な理由
矯正治療は医院ごとに治療方針や使用する装置、費用体系が異なります。1件だけでは「その説明が標準的なのか」を判断する材料がありません。一方で5件、6件と回りすぎると、情報が増えるばかりで判断基準がぶれやすくなります。
2〜3件であれば、治療方針の違いを比較できるだけの情報量が得られ、かつ自分の中で「ここが違った」「ここは共通していた」という軸が整理しやすい件数です。共通して指摘された内容は信頼性が高く、意見が分かれた部分こそが「自分で判断すべきポイント」として浮かび上がります。
複数の矯正相談で比較すべきポイント
複数の医院を回るなら、ただ話を聞くだけではもったいないです。事前に「何を比較するか」を決めておくと、相談後の判断がしやすくなります。
治療方針と装置の選択肢
同じ歯並びの悩みでも、医院によって提案される治療方針は異なります。たとえば、ある医院では「抜歯して全体を動かす」と言われ、別の医院では「非抜歯で対応できる」と言われることは珍しくありません。
比較のときに確認しておきたいのは、以下の点です。
- 抜歯の要否とその理由
- 提案された装置の種類(ワイヤー矯正、マウスピース矯正など)
- その装置を選ぶ根拠(自分の症例に適しているのか、医院側の都合なのか)
- 治療のゴール(見た目だけでなく噛み合わせまで含めるか)
特に「なぜその治療方針なのか」の説明が具体的かどうかは、医院の診断力を測るひとつの材料になります。「あなたの場合は○○だから△△が必要」と症例に即した説明がある医院と、「うちではこの装置を使います」という一律の説明しかない医院では、治療の精度に差が出る可能性があります。
費用の内訳と総額の考え方
矯正治療の費用は、一般的に表側ワイヤー矯正で60万〜120万円程度、部分矯正で30万〜60万円程度が目安です。ただし、この「総額」の中身は医院によってかなり違います。
| 費用項目 | 含まれる場合 | 別途かかる場合 |
|---|---|---|
| 精密検査・診断料 | 総額に含む | 3〜6万円程度 |
| 毎回の調整料 | 総額に含む | 1回3,000〜5,000円程度 |
| 保定装置(リテーナー) | 総額に含む | 1〜5万円程度 |
| 保定期間中の通院費 | 総額に含む | 1回2,000〜5,000円程度 |
「80万円」と提示された医院と「70万円」と提示された医院があっても、調整料やリテーナー代が別途かかるかどうかで最終的な支払い総額は逆転する場合があります。相談時には「治療完了までにかかる費用の総額」を確認し、何が含まれていて何が別途かかるのかを整理して比較してください。
矯正歯科医の資格と経験
矯正治療は歯科医師であれば行えますが、専門的なトレーニングを受けた医師かどうかは治療の質に直結します。確認しておきたいのが、日本矯正歯科学会の「認定医」資格です。
認定医は、学会が指定する研修施設で5年以上の臨床研修を修了し、学術活動の実績を含む審査に合格した歯科医師に与えられる資格です。日本臨床矯正歯科医会によると、矯正歯科学会の認定医は約2,500名、専門医は約250名にとどまります。
参考:vol.14 知っておきたい矯正歯科の選び方|日本臨床矯正歯科医会
認定医の名簿は日本矯正歯科学会の公式サイトで都道府県別に検索できます。相談先を選ぶ段階でこの名簿を確認しておくと、比較の精度が上がります。
また、認定医であることに加えて、「何年くらい矯正治療に携わっているか」「どのような症例を多く扱っているか」も聞いてみてください。矯正治療は症例の幅が広く、軽度の歯並びの乱れと骨格に問題がある症例では求められる技術が異なります。
矯正相談で「違うことを言われた」ときの考え方
複数の医院を回ると、治療方針が食い違うことがあります。なぜ説明が分かれるのか、その背景を知っておくと、情報に振り回されずに判断しやすくなります。
医院ごとに説明が違う理由
複数の医院で相談すると、治療方針が異なるケースは少なくありません。「A医院では抜歯が必要と言われたのに、B医院では抜歯なしでできると言われた」という経験をされる方もいます。
これは必ずしもどちらかが間違っているわけではありません。矯正治療には、同じ歯並びに対しても複数のアプローチがあり得ます。抜歯して大きくスペースを確保するか、非抜歯でIPR(歯の側面をわずかに削る処置)やディスキングで対応するかは、治療のゴールをどこに設定するかによって変わります。
ただし、説明が異なること自体は問題なくても、「なぜその方針なのか」を具体的に説明できるかどうかは医院選びの重要な判断材料です。「うちではこの方法をおすすめしています」だけで理由が示されない場合、その医院がすべての症例に同じ方法を当てはめている可能性があります。
判断に迷ったときの整理法
複数の意見を前に判断が難しくなったときは、以下の3点で情報を整理すると優先順位が見えてきます。
- 共通して指摘された事実(例:上顎前突がある、叢生(そうせい:歯が前後に重なり合う状態)の程度が中等度)→ これは自分の現状として信頼できる情報
- 共通しているが提案が分かれた部分(例:抜歯の要否)→ それぞれの理由を比較し、自分が重視するゴールに近い方を選ぶ
- 一方でしか言及されなかった情報(例:顎関節への影響)→ もう一方の医院でも聞いてみる価値がある
なお、「矯正相談」は治療開始前に複数の医院で意見を聞く行為です。すでに治療が始まっている方が現在の治療方針に疑問を感じた場合は「セカンドオピニオン」にあたり、主治医と相談のうえで進めるのが基本となります。
矯正相談を受ける前に準備しておくこと
相談の場で得られる情報の質は、事前の準備で変わります。相談の仕組みの違いと、持参しておくと比較に役立つものを整理します。
無料相談と有料相談の違い
矯正歯科の初診相談は、無料で実施する医院と有料の医院があります。有料の場合は3,000〜10,000円程度が一般的です。
無料相談では、問診と簡単な視診をもとに治療の大まかな方向性や費用の目安を説明してもらえます。ただし、レントゲン撮影や精密な検査は含まれないことがほとんどです。一方、有料相談ではレントゲン撮影を行ったり、相談時間を長く確保してくれたりする場合があります。
「無料だから質が低い」というわけではありませんが、精密検査を伴わない段階での説明は、あくまで「見た目の印象をもとにした仮の見立て」です。最終的な治療方針は、精密検査(レントゲン・口腔内写真・歯型採取など)を経て確定するものであり、初回の相談だけで治療の全体像が決まるわけではないことを理解しておくと、情報の受け取り方が変わります。
相談時に持参・準備しておくと役立つもの
複数院を比較する場合、相談の場で聞いた内容を後から振り返れるようにしておくことが大切です。
- メモ帳またはスマートフォンのメモアプリ(説明内容を記録する)
- 他院で受けた説明の概要メモ(「他院ではこう言われました」と伝えると、比較の観点で説明してもらいやすい)
- 自分の歯並びで気になっている点のリスト(見た目・噛み合わせ・発音など、優先順位をつけておく)
矯正相談に関するよくある質問
矯正相談にはどのくらい時間がかかりますか?
初診相談の所要時間は30分〜1時間程度が一般的です。無料相談では30分前後、有料相談や簡易的な検査を含む場合は1時間程度を見込んでおくとよいでしょう。
複数院を回るときは、同じ週に2件ほどまとめて予約すると記憶が新鮮なうちに比較しやすくなります。
精密検査も複数の医院で受けるべきですか?
精密検査は1件あたり3〜6万円程度かかるため、すべての医院で受ける必要はありません。初診相談で2〜3院を比較し、治療方針や説明に納得できた1〜2院に絞ってから精密検査に進むのが費用面でも現実的です。
精密検査の結果をもとに最終的な治療計画が確定するため、「ここで治療を受けたい」と感じた医院で受けるのが基本の流れです。
矯正相談を受けたあと、いつまでに治療を始める必要がありますか?
初診相談の結果に有効期限はありません。相談から数ヶ月空いても、口腔内の状態が大きく変わっていなければ相談時の見立てはおおむね有効です。ただし、成長期のお子さんの場合は顎の発育によって状況が変わる可能性があるため、半年以上空くようであれば改めて相談するのが安心です。
まとめ
矯正相談は、2〜3件の医院を回って比較するのが現実的な目安です。ただし件数を増やすこと自体が目的ではなく、「治療方針の根拠」「費用の総額と内訳」「矯正歯科医の資格と経験」の3つの軸で比較することが、自分に合う医院を見つける近道になります。
複数の医院で異なる説明を受けたときは、むしろそれが「自分で判断すべきポイント」を教えてくれるサインです。共通点は信頼できる情報として受け取り、分かれた部分は自分の優先順位と照らし合わせて判断してください。
矯正歯科・口腔ケア クリニック知事公館前では、日本矯正歯科学会認定医である院長が、大学病院で約30年培った経験をもとに矯正相談を行っています。治療方針の理由や費用の内訳を具体的にお伝えしますので、比較検討中の方もお気軽にご相談ください。
記事監修者

矯正歯科・口腔ケアクリニック知事公館前
院長 三木 善樹
大学病院で培った治療と予防の経験を地域の皆様にお届けしていきたいと考えております。
矯正治療は長い時間をかけて歯並びを整える治療です。治療期間を通じて信頼できるパートナーとして寄り添えるよう、スタッフ一同努めてまいります。
- 経歴
- 1993年 徳島大学歯学部卒業
- 1997年 徳島大学大学院歯学研究科修了
- 1997年 徳島大学歯学部矯正学講座助手
- 2004年 札幌医科大学医学部口腔外科学講座助手
- 2007年 札幌医科大学医学部口腔外科学講座助教
- 2022年 矯正歯科・口腔ケアクリニック知事公館前院長
- 所属学会
- 日本矯正歯科学会・認定医
- 日本口腔外科学会
- 日本顎変形症学会
- 日本口蓋裂学会
- 日本顎関節学会
- 北海道矯正歯科学会
- 日本骨代謝学会
- 歯科臨床研修医指導医
【矯正治療に関する重要事項】
矯正治療は公的医療保険が適用されない自由診療です(顎変形症など一部の症例を除く)。
- 治療内容:ワイヤー矯正装置(セラミックブラケット・ホワイトワイヤー)を用いて歯を移動させ、歯並び・噛み合わせを改善する治療
- 治療期間・回数:一般的に1年半〜3年程度、月1回程度の通院(個人差あり)
- 費用の目安:矯正治療全体で60万〜120万円程度(税込・症例や装置により異なります)。詳しくはクリニックへお問い合わせください
- リスク・副作用:治療中の痛み・違和感、歯根吸収、歯肉退縮、虫歯・歯周病リスクの増加、顎関節症状、後戻りの可能性など
-
-
住所〒060-0003
北海道札幌市中央区北3条西14丁目2-2
ダイアパレス北3条第2 1F -
アクセス地下鉄東西線「西11丁目」・「西18丁目」駅から徒歩10分
JR函館線「桑園」駅から徒歩15分 -
駐車場駐車場はクリニックの裏、マンション敷地内15番ですが、使用中の場合は近隣駐車場に停めてください。受付で駐車券を提示し申告していただけましたら1時間無料チケットをお渡しします。
-
-
予約について
診療時間 月 火 水 木 金 土 日 10:00 ~ 13:00 - - ● ● ● ● ▲ 14:00 ~ 18:00 - ● - - ● ● ▲ 休診日/月曜日・火曜日午前・水曜日午後・木曜日午後・隔週日曜日・祝日
※1 日曜日は隔週
※ 最終受付は17時30分
マイナンバーカードでの受付OK
各種キャッシュレス決済OK診療科目:矯正歯科